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Idle Moments 無為の時々

呼吸するように、撮り続けたい

ミックとミッキー 



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ローリング・ストーンズの50年の軌跡をたどる
映画「クロスファイアー・ハリケーン」を仕事帰りに観た。
ビートルズの「ア・ハード・デイズ・ナイト」さながら
客席の女の子たちが絶叫するデビュー当時のライブの様子など、
そういう時代だったのだなあと思わせる
興味深い映像が満載であった。

連休は家族で千葉へ。
妹の家にて法事を済ませ、翌日はディズニーランドへ行く。
小さい娘二人を持つ親として、仕方ないなと思いつつ
当然ながら、遊園地なんぞに全く興味がない。
滅多に行くことのない遊園地に喜ぶ子供たちだが、
なんせ行楽シーズン最後の3連休の中日で
クリスマス前ということもあってとにかくすごい人ごみ。
遊んでいる時間よりも、圧倒的に待っている時間が長い。
(子供らはDSを、お父さんはスマホを手放せない。)
長蛇の行列に並びながら、他の(閑散とした)遊園地と
ディズニーランドの違いは何だろうとぼんやり考えていた。

ストーンズとミッキーマウス。
老若男女を問わず大勢の人間を夢中にさせる魅力は、本当に凄い。
というか、そういう偶像/スターを求めてしまう人々の心理とは何だろう。
月並みな答えだけど、やっぱり日常からの解放みたいなものだろうか。

それにしても、
映画を観ながら
飲み過ぎたビールのために途中でトイレに立ったり、
アトラクションの行列に割り込む大人げない家族らに腹を立てたりしていると、
なかなか日常から解放されているとは言えないなと
思わず苦笑するのであった。



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先週買ったCD

●The Studio Albums 1968-1979 / JONI MITCHELL

奇跡の10枚組、紙ジャケ。
初期~ミンガスまでのアルバムをすべて網羅。(ライブを除く)
当然何枚かかぶりはあったけど
この値段とクオリティなら納得です。



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先週読了した本

●植物はすごい(田中 修)

アジサイやユーカリの葉っぱには強力な有毒物質が含まれているとか、
常緑樹は、冬に向けて糖分を高めることで凍ることから身を守っているとか、
身近な植物、毎日食べている野菜や果物、ベランダに植えている草花が
実は、すごい仕組みでたくましく生きていることを
実感できる一冊です。


●森山大道、写真を語る(森山大道)

疾走し続ける写真家・森山大道に対するインタビュー・対談集。
中平卓馬氏や荒木経惟氏など、森山氏と関わりの深い人たちのやりとりを通じて
現在に至る森山写真史を検証できるとともに、
写真についての考え方や姿勢について、
本人が書いた文章よりも、より本音が見える気がします。



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( 2012/12/02 23:05 ) Category Weekend column | TB(0) | CM(0)

記録について 



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部屋のラジカセが壊れたので買い替えることにした。
「ラジカセ」と言っても、さすがにカセットはなくて、
CD、MD、ラジオが聴けるものだったけど
とうとうCDプレーヤー部分が故障してしまった。
99年製。既に10年以上使っていることになる。

思えばこのラジカセ(という単語はもう死語か)、
そもそもギターの練習用に買った。
バンドで作った曲をMDにダビングもした。
その後、英語の勉強でもずいぶんお世話になった。
毎朝のラジオ講座をMDに次々録音した。
勉強が追いつかず、溜っていくMDソフトを眺めながら
後ろめたい気持ちに苛まれていたことが
つい最近のことのようである。
いつしかMDを聴くことも英語の勉強をすることも
ほとんどなくなってしまっていたけど。

CD以外はまだ使えるのだから廃棄しなくてもいい。
処分してしまうとMDの再生装置が我家から姿を消すことになるし
それは人生の記録の一部が消えてしまうことを意味する。
しかし、そうやってガラクタのようなモノが
どんどん増えていってしまうのはいかがなものか。
カセットテープ、VHS、8ミリビデオ、LD、そしてMD。
恐らく普通の電器屋さんではもうそれらの再生装置は手に入らない。
うちだと、結婚式の記録も、若い頃のバンドのライブや宅録の一部も、
もう見たり聴いたりできなくなる。
そう思うと捨てられず、部屋のあちこちに使わないハードやソフトがあふれかえる。

それにしても、
何かの記念に記録をするときや、パッケージソフトを買うときは
生涯保証されているとは思わないまでも
まさかたった10年で使えなくなるとは予想できなかった。
そういうものはデータ化すればいいのだと言われるが、
結構な量のそれをいちいちデータ化するなど
仕事でもないかぎりなかなか出来るものではない。
(そういえばパソコンを使って間もない頃
記録用に使っていたMOも今では再生できない。)
私が「記録」ということに冷淡になってしまうのは
こういうことが続くからである。

今度買い替えた機器は、結局ミニコンポにしたのだけれど
(なんと2万円弱で買える!)
CDとラジオが聴けて、i-podのドックが付いている。
しかし、i-podを単独で持つ人は減り、
i-phoneの端子は5から規格が変わったので直接つながらないという。
買っていきなりこの調子だから
やれやれと思わずにはいられない。



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先週読了した本

●LA・ジャズ・ノワール(中山康樹)

ジャズ正史では、ニューオリンズで生まれたジャズが、
シカゴ~カンザスシティを経てニューヨークに住みついたように映り、
「ウエスト・コースト・ジャズ」について語られることは少ない。
「異形」を生み出す西海岸のジャズにスポットをあてた本書は
ジャズ史の真実を暴く一つの試みといえるでしょう。

スターの実態は、重度の麻薬中毒者にすぎなかった。
そして一般に称される「ウエスト・コースト・ジャズ」とは、
そのジャンキーに白いTシャツを着せ、海辺に連れ出し、
陽光の下に立たせ、あたかも健康体であるかのように装った
「虚構」としての側面をそなえていた。
それは「不健康なまでに健康的」なロサンゼルスという都市に
最も似つかわしいサウンドトラックだったのかもしれない。




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( 2012/11/04 10:40 ) Category Weekend column | TB(0) | CM(0)

五十 



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子供の頃、五十歳男性といえば「おじいちゃん」の類だと思っていた。
自分の祖父は私が生まれる前に亡くなっており
「おじいちゃん」と呼べる人が身近にいなかったので
イメージがうまく出来なかったせいかもしれない。
まあ磯野波平さんのような感じだろうと
タラちゃんくらいの頃は何となく思っていたのだった。

それにしても、五十になった自分の姿など思いもつかなかった。
五十の誕生日を迎えた今も、
半世紀も生きているなどという実感が全く湧かない。

そういえば実際、同い年で「おじいちゃん」になっている人もいる。
髪が多少白くなったり薄くなったりはしていても
元気で若々しいおじいちゃんたち。
そう思うのは同い年だからで、子供の目から見れば
やっぱり波平さんなのだろうか。
それにしても、
孫と戯れる同級生もいるというのに、
うちの下の娘はまだ幼稚園生で、
未だ日曜日は親子そろってサザエさんを見て笑ってたりする。
まだまだ先は長い。

「五十にして天命を知る。」と言われるが、
自分が五十になってみて、
天命どころか
全く成長のなさを思い知らされる今日この頃である。



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先週買ったCD

●STRANGE MERCY / ST.VINCENT

バーン氏との共演で気になったのでアルバムを買ってみました。
挨拶代わりの1曲目から、2、3、4曲と凄い曲がどんどん続きます。
ラストの「YEAR OF THE TIGER」まで名曲ぞろい。
多彩でインパクトのあるギターリフ、
やや東洋的な旋律が見え隠れするメロディライン、
プラスティック製透明感と都市的気怠さをミックスしたようなヴォーカル、
スパークスmeetsグランジなポップセンス、
もうはまりまくりです。
特に4曲目の「SURGEON」のイントロを聴くだけで
いつも蕩けてしまいます。


●TEMPEST / Bob Dylan

歌詞を読みながら聴く、ということをほとんどせず、
ただただ音楽を聴くだけの私にとって
ディランはいまいちよくわからない人なのですが、
(それでも結構古いアルバムは持っている。)
71歳の新作は、
サビのない繰り返しが続くシンプルな楽曲が多いにもかかわらず
迫り来る説得力を感じます。
聴けば聴く程味が出る(発見がある)本作、
もう少しガッツリと聴き込んでみたいと思います。



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先週読了した本

●ビートルズ解体新書(中山康樹)

ジョンやポールだけではなく、リンゴやジョージの視点からも
楽曲やサウンドを再検証した本書を片手に、
久し振りに「アンソロジー」シリーズを聴いてみると
聴き慣れた曲もどこか新鮮に感じます。
映画「レット・イット・ビー」の屋上コンサートには
実はオリジナル(当時未公開のゴダールの映画)があった
という話はこの本で初めて知りました。



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先週買った写真集

●夜間飛行(野村佐紀子)

古本屋で見つけました。
作家は、アラーキーに師事し、主に男性ヌードを中心に作品を展開されています。
スパイカメラを使って、わずかな光源で撮影された全裸の男、空港、街並み…。
黒くてノイジー、かつ静謐な写真の数々に
つい目を凝らして見続けるのが癖になりそうな一冊です。


●Bye Bye Photography(森山大道)

日本写真史に残る超名作「写真よさようなら」のリメイク版。
町口覚氏が造本を手がける新書サイズのDAIDOシリーズもついに8作目となりました。
前述の野村氏の作品集もそうですが
スタイルとしてのアレ・ブレ・ボケではなく
写真の在り方、あるいは表現力やその質感を
極限まで追求した純度の高さが感じられます。



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( 2012/10/28 23:38 ) Category Weekend column | TB(0) | CM(0)

三連休 



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10月になって、暑さもようやく一段落。
絶好の行楽日和で今日は三連休中日の日曜日。
しかし、外出の予定もなく
雑用をこなしているうちに一日が過ぎていく。

ああ、もったいない。

そう思うことが貧乏性なのだろう。
一日家で家族とのんびり過ごせば、それに勝る幸せはあるまい。
好きなCDでも流して、部屋に山積みしてある本を読むもよし。
たまには子供相手にボードゲームに興じるもよし。
外に出たってどうせ無駄なお金を使うだけよ。
そう言い聞かせてはいるのだけど、なんとなく納得してない自分がいる。

ああ、もったいない。

夕食の買い物帰りに
またしてもそうつぶやきたくなる程、
雲一つない夕方の空であった。



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先週買ったCD

●The Devil You Know / Rickie Lee Jones

プロデューサーにベン・ハーパーを迎え、
ストーンズやニール・ヤング、バンドなどのカバー集となる本作は
彼女のヴォーカルが生々しく聴こえる、ブルージーで静謐な印象のアルバム。
まるで祈りを捧げるかのような「悪魔を憐れむ歌」など、
個性際立つアレンジがやみつきになりそうなほど魅力的です。


●Love This Giant / David Byrne & St.Vincent

1曲目『Who』から力一杯ヘッズ節を炸裂するバーン氏と
しなやかに応えるSt.Vincentことアニー・クラーク。
ホーン中心の編曲もユニークで、垣間見えるキリリとしたギターリフがかっこいい。
St.Vincentのことは良く知らなかったので
YouTubeでチェックしていたら、
お人形のような顔に、硬質で野性的なギターを弾くアンバランスさが
これまたたまらなくかっこよかったです。



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先週読了した本

●その未来はどうなの?(橋本 治)

分からないことだらけの今の世の中で
何がどう分からないかを考えることが解決の第一歩であるというわけで
様々な「分からないこと」に挑む今作。
後半の「TPP後」「経済」「民主主義」といった
ある意味日本の今後の在り方についての章が
とても興味深かったです。

民主主義が「なにも決められない」という状態に陥ってしまったのは、
自分の利益ばかりを考えすぎる王様を放逐して、国民が「自由すぎる王様」になった結果です。
(中略)
自分の利益ばかり求めていた王様は、その結果すべてを失いました。
「王様」になってしまった国民だって、それは同じです。
だから、「自由すぎる王様」になってしまった国民は、
自分以外の「国民のこと」を考えなければいけないのです。
しなければならない議論の方向を「自分の有利になる方向」に設定しないことです。




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( 2012/10/07 20:38 ) Category Weekend column | TB(0) | CM(0)

カレンダー 



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今月の始め、ある雑貨屋さんに入った時のこと、
カレンダーや手帳がやたら置いてあるのを見て、
この暑い時期に何だろうと思い、
よく考えると9月ということは
今年ももう2/3が終って、2012年も残りわずか4ヶ月である
ということに気づく。
もうカレンダー・手帳の商戦が始まっているのだ。

時間が経つのが年々早くなる、飛ぶように月日が流れる…
この歳になるとこんな会話が増える。
確かに振返ると、早いな、と思う。
毎日同じことの繰り返しが、
日々を新鮮味のない単調なものにして、
時間を加速させてしまう。

最近は、同じことの繰り返しが、
もしかしたら大切なのかもしれないと思うようになってきた。
子どもは同じことの繰り返しが好きだ。
いつも同じ遊びをしたがるし、同じものを食べたがる。
同じアニメを何回も観るし、同じところへ行きたがる。
同じことの繰り返しの中で、いつも何かしら新鮮味を見つけているのかもしれない。
そうやって日常を深く掘ることは、無闇に新しさを探しまわることより
面白いのではないだろうか。

店頭に並ぶカレンダーの、「2013」と印刷された表紙を眺めながら
思えば今年は散々な年で…と
ちょっとだけ振返りかけたけど
やっぱりそれはやめることにした。



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先週買ったCD

●MULTISHOW AO VIVO / CAETANO e MARIA GADU

ブラジルMPB界の重鎮であり、
今も先鋭的な音楽を発信し続けるカエターノ・ヴェローゾと、
最も注目を集める若き女性シンガー・ソングライター、
マリア・ガドゥによる共演ライヴ盤。
二人の声質のコンビが絶妙で
観客のノリも素晴らしい。
カエターノの弾き語りは、一日中聴いていても飽きないです。



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先週読了した本

●さよならビートルズ(中山康樹)

副題「洋楽ポップスの50年は何だったのか」。
ビートルズの来日という社会現象を通じて
日本の洋楽ポップス市場の変遷を俯瞰し、
今、日本から洋楽が消えかかっている現状を分析しています。

60年代に全盛を極めたミュージシャンやグループが充実したアルバムを発表し、
かつてとは次元を異にする創造的高みに達しているにもかかわらず
そこに目を向けられることは少ない。(中略)
注目すべきは、こうした「現在に対する過小評価と無関心」が、
ほとんど日本だけに顕著な傾向ということだろう。



●独立国家のつくりかた(坂口恭平)

なんでお金がなくなったら住む場所がなくなるのか。普通に考えたらおかしい。
動物は別にお金なんかなくとも生きていける。

奈良にある法隆寺は当然ながらコンクリート基礎がない。それなのに、現代建築は
コンクリート基礎がないと建設することができない。これは普通に考えておかしいことだ。

あなたが「やりたいこと」など、社会には必要ない。(中略)
芸術というのはそういうことを指すものではない。(中略)
やりたいことは無視して、自分がやらないと誰がやる、ということを
やらないといけない。(中略)
自己実現をするのではなく、社会実現に向かっていく。


0円で新政府を樹立した著者の、独特の考え方が
現代の経済システムの欺瞞を暴くようで
とても納得させられました。



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( 2012/09/16 10:24 ) Category Weekend column | TB(0) | CM(0)

夏の終わりに 



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寝苦しい夜は相変わらず続いているけど、
そこここに夏の終わりを感じないこともない。

いつのまにか、あんなにうるさかったクマゼミの鳴き声が聞こえなくなった。
そういえばお盆のお墓参りでは
ツクツクボウシが鳴いていた。

虫といえば、下の娘が幼稚園でもらってきた数匹の鈴虫。
鈴虫は、薄暗くじめじめしたところを好むので
あまり人前で観賞するようなものではない。
だいたい姿かたちもゴキブリの小さいやつみたいなもんだ。
鳴き声を楽しむのが風流、ということなのだけど
これがお盆前から成虫になり、りんりんとよく鳴いている。
ちょっと早すぎないか、とも思うが
とにかく一晩中、いや一日中鳴いている。
それにしてもシジミより小さい羽根をこすりあわせて
よくこんな音が出るものだと感心する。
昔、山登りをしていた頃、
山小屋をパニックに陥れた先輩のイビキの音の大きさに
よく人間のカラダからこんな音が出るものだと感心したことを思い出した。

スーパーに買い物に行くと、魚も野菜も徐々に旬の素材が変わりつつある。
ベランダのミニトマトももうおしまいだ。
夕方も、薄暗くなるのが早くなってきた。
毎日暑い日が続いていると思っていても
自然は着実に秋に向かっているのだ。

今年の夏休みは上の娘が風邪をこじらせて
旅行もドタキャンとなり、なんとなく不完全燃焼な感じではあるけど、
せいぜい夏の終わりを楽しむ術を
何か考えだしたいと思う。



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先週買ったCD

●THE DOOBIE BROTHERS / ORIGINAL ALBUM SERIES

●LITTLE FEET / ORIGINAL ALBUM SERIES

各5枚組2,500円。
こうやってオリジナルアルバムを順を追って聴くと、
バンドの志向の変遷が感じられて
ヒット曲ばかりのベスト盤を聴くのとは違う顔が見えてきます。
アメリカ西海岸の奥の深さを感じる10枚でした。
それにしても「Listen To The Music」とかを久し振りに聴くと
中学生の洋楽聴き始めの頃を思い出してしまいます。



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( 2012/08/26 11:47 ) Category Weekend column | TB(0) | CM(0)

見知らぬ街へ 



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夏の朝。気温が上がる前の貴重な時間。
ぼくは見知らぬ街を自転車で走っていた。

西へ。
海が見れたら、と思いつつ
感覚だけを頼りにペダルをこぐ。
「潮」「岸」…
海に関係する地名は、
その昔、その辺りが海だったことを意味するのだろう。
先史時代、台地の西は海であった。
川が運ぶ土砂により今の街の中心部が形作られてきた。
そうやって海岸線は西へ西へと伸びた。

もう海にたどりついてもいいのではないか。
そう思いつつも、海が見える気配は一向にない。
「もう少し進んでみよう。」
見知らぬ街は続く。
「もう少し…。」

この懐かしい感覚は何だろう。
思い出した。
子供のころ、コンクリートに蓋された
真っ暗で長い溝の中を一人で探検した時の、
理性が好奇心に負ける瞬間だ。
「もう少し進んでみよう…。」

気が付いたら大きな通りに出てしまった。
聞き覚えのある地名を記した標識が見える。
見知らぬ街の幻想がとたんに現実に戻る瞬間。
西へ走っているつもりがいつのまにか南へ走っていたようである。
いつまでも海の気配すらないわけだ。
もう帰らなくては。
時計を気にしながら味気ない大通りを家に向かう。
戻ると、家族がまだ寝息をたてていた。



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先週読了した本

●村上春樹を読みつくす(小山鉄郎)

「生」と「死」の世界の行き来、動物の登場、
日本人とは?、ドーナツ的なもの、古典や神話との関係…
村上作品の根底に流れる大きなテーマを
これまでの小説や作家へのインタビューから
浮彫りにしていく本書を読んでいると、
自分がいままで何を読んでいたのだろうと
読解力のなさを省みると同時に、
初期作品からきっちり再読したいと思わずにはいられません。


●ネットでやって良いこと悪いこと(佐藤佳弘)

インターネット上のコンプライアンスについて
我々はあまりに知らないことが多いと思います。
こういうことは、小学校や中学校で学ぶべきかもしれません。
しかし、恐らく今の社会のスピードでは
めまぐるしく変化するネットの世界を、
到底追っては行けないでしょう。



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( 2012/08/19 08:42 ) Category Weekend column | TB(0) | CM(0)

恩師 



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今日、大学時代の恩師のお葬式があった。
会場で、先生の生前のビデオや作品を拝見しながら、
ああ自分にも学生時代があったな、という
普段はあまり振り返らない大学の頃の記憶をいろいろと思い出した。

先生、本当にありがとうございました。
心よりご冥福をお祈りいたします。



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先週読了した本

●来世は野の花に(秋山豊寛)

1966年東京放送入社。日本初の宇宙飛行士としてソユーズに搭乗。
充実した老年期を阿武隈の山地で過ごすという夢が
3.11の原発崩壊とともに失われ、
原発難民となる著者のエネルギー源は
実は「怒り」と「憎しみ」であったと綴られております。
3.11で崩壊が露になったもの、
政府、専門家、マスコミに始まり、
農業、食、コメ、若者の態度、日本人の節度等々…。
そもそも緩い規制は一体何のためなのか。農業ロボットは誰のためなのか。
カメムシのために危険な農薬を何故使うのか、
といった矛盾が次々に浮彫りにされる本書は、
宇宙空間を経験した著者ゆえに説得力が違います。



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( 2012/07/08 23:46 ) Category Weekend column | TB(1) | CM(0)